2種類の登記の役割と読み解き方

2026年10月6日

2種類の登記とは

不動産登記制度の役割である「物的状況」と「権利関係」に対応するため、登記簿には2種類の登記が記録されています。
物的状況を明らかにする表示に関する登記と権利関係を明らかにする権利に関する登記です。
不動産自体という物を対象とする表示の登記と不動産に関係する人を対象とする権利に関する登記とも言い換えられます。

表示に関する登記

表示に関する登記の目的は不動産の物的状況を公示することですから、建物の新築・増築・取り壊しなどで物的状況が変化したときは1か月以内に登記することが義務付けられています。
表示に関する登記は権利に関する登記と違い、登録免許税は不要(分筆・合筆等の登記申請を除く)です。

表示に関する登記とは権利の目的となる不動産を特定し、その権利に関する登記の前提となりますので、表示に関する登記を行ってはじめて、権利に関する登記を行うことができます。
いわば表示なくして権利なしです。

登記するメリットを考える

表示に関する登記については不動産の物的状況が変化したら1か月以内に登記することが義務ですが、現実とズレていることがままあります。
たとえば建物を建てるときに銀行等から融資を受けるときは権利に関する登記が絶対必要なので、表示に関する登記も行いますが、自分のお金で建て替えたり、増築した場合はそもそも権利に関する登記が不要なので、表示に関する登記もしない、という人もいるわけです。

つまり不動産の権利を主張したい人にはその前提となる表示に関する登記のメリットがありますが、権利を主張する必要がない人には特にメリットがないのです。

登記簿の構成

登記記録は表題部と権利部の大きく2つに分かれ、権利部はさらに甲区と乙区に分かれています。

表題部と権利部の違い早見表
記録する場所 対象 記録される項目
表題部 物的状況 物件の物的状況
権利部甲区 権利 所有権
権利部乙区 所有権以外の権利

この3つは同時にできるわけではなく、必ず表題部→権利部甲区→権利部乙区という順番で出来ていきます。

登記目的の違いと登録免許税
表示に関する登記 権利に関する登記
目的 事実の正しい表示 対抗力の保全
申請の義務 義務 任意
登録免許税 不要 必要

登記できる権利とは?

登記記録の権利部にはその物件の権利関係が記録されますが、下記の権利のみが登記でき、他の権利は登記できません。

登記できる権利
所有権 地上権 永小作権
地役権 先取特権 質権
抵当権 根抵当権 賃借権
配偶者居住権 採石権

表題部の読み解き方

土地の表題部からは所在・地目・地積などの物理的状況だけでなく、過去の地目や分筆・合筆の経過が見られるので、その土地の現在に至るまでのいきさつを知ることができます。
たとえば過去にここには墓地があったことを知るとか土壌汚染の調査に利用することも可能です。
一方、権利部においては過去よりも現在の権利情報のほうがより有益で、過去に競売に掛かったなどの情報は、今の不動産取引には大きな影響は与えません。